生涯の家計収支の中でも、生活・住宅・教育・保険についで大きな支出を占めるクルマ。ライフプランとカーライフについて考えてみましょう。
皆さんはどんな車に乗っていますか? 車種や年式、状態、使い方などによって、車を有するのにかかる費用もさまざまですね。
共通して必要な項目と年間にかかる金額として、私の妻の車を例に計算してみました(以下、すべて1年当たりの費用に換算)。
●ガソリン代:15万6250円
・車 日産キューブ(2010年式)
・平均燃費 約12キロ/1リットル
・1リットルのガソリン代 約125円(全国平均価格 2017年4月時点の価格)
・年間走行距離 約1万5000キロ
→1万5000キロ÷12キロ/リットル×125円/リットル=15万6,250円
●整備費用など:9万6000円
・車検、点検、オイル交換費用 8万円(車検代は1年分のみ概算で算入)
・タイヤ代 1万6000円(1万6000円/本×4本÷4年ごと)
●税金・保険:8万1135円
・自動車税 3万4500円(1500CC以下)
・任意保険 3万3720円(ネット損保 20等級)
・自賠責保険料 1万2915円 (2年間2万5830円÷2年)
●高速道路通行料:3万円程度(年間)
●駐車場代:14万4000円(1万2000円/月×12カ月)
ここまでを合計すると、年間50万7385円、月額で4万2282円がかかっています。その他にも、カー用品や洗車代、出掛けた先でのパーキング代、不具合やぶつけた場合の修理代などの費用も不定期に発生します。
■年間でトータル80万円超もかかる
また、7年に一度新車250万円(諸費用込み)を乗り換えるという人なら、下取りが40万円としても、7年ごとに210万円を車両購入費用として準備するか、ローン返済(金利がプラス)しないといけません。210万円を乗り換えまでの7年間で割ると、単純計算で年間30万円になります。
車に対する車両購入費用約30万円と維持費約51万円を合計すると、1年間の支出は81万円(月額6万7500円)ということになります。あらためて金額を計算すると、こんなにお金がかかっていたんだなとビックリしてしまいますね。
■車と生涯付き合ったらなんと約4000万円!
同じ条件で、仮に20歳〜70歳までの50年間、車に乗り続けたらいくらになるでしょうか。
●車の購入代金
210万円(下取りを差し引いた金額)÷7年間×50年間=1500万円
●車の維持費
51万円/年間×50年=2550万円
合計でなんと4050万円! 思わずため息をついてしまう金額ですね。マイホームの購入金額に匹敵します。もちろん、車の種類や使い方でこの金額は大きく変わってきますが、いずれにしても数千万円単位の出費が必要です。
ちなみに軽自動車だと、概算で上記金額の約半分の2000万円、クラウンクラスだと上記金額の1.5〜2倍程度、6000万円〜1億円程度が必要です。
夫は普通車、妻は軽自動車と2台以上保有する家庭も多いですが、その場合は普通車で約4000万円、軽自動車で約2000万円の合計6000万円です。会社員の生涯賃金は2億円から3億円と言われていますが、かなりの割合がカーライフに充てられることになります。
■車に対する価値観やライフプランも費用に影響
車好きな方も多いと思いますし、一方で、車は走ればいいという価値観もあります。好きな車に乗り続けたいというのも価値観。どちらも否定できません。
いずれにしても、生涯のライフプランの全体像を掴んだ上で、我が家のカーライフをどうしていくか考えていきたいところです。
代わりに公共交通機関やレンタカーを使うと、いくらかかる?>>
■車を持たない生活How Much?
タクシーや公共の交通機関、レジャー時にはレンタカーを使う。これは筆者が8年間、東京の都心(中野区)で暮らしていた時のカーライフのスタイルでした。
都心だと駐車場代だけでも1月3万〜5万円は当たり前! 当時サラリーマンだった私にはとても車を持つことができませんでした。その代わり、地下鉄などの公共交通機関が発達しているエリアだったため、不自由はありませんでした。
このように思い切って車を所有せずに、代わりにかかる費用を試算してみましょう。
●交通費
月に1万円ずつタクシーを使ったとして50年間で計算
→1万円/月×12カ月×50年間=600万円
●レンタカー代
月に1回レジャーを楽しむためにレンタカーを24時間借りる場合
→トヨタ プリウスで約1万2000円+高速代・ガソリン代約7000円=約2万円/月
→2万円/月×12カ月×50年間=1200万円
合計すると、50年間で1800万円。生涯キューブクラスに乗り続けた場合の4200万円との差額は、2400万円にもなってしまいます。
■レンタカーのほかに、カーシェアリングを利用する手も
レンタカーだと、気分によってRV車にしたりスポーツタイプにしたりとチョイスして、いろいろな車に乗ることもできます。子供が生まれた、引っ越しした、といった環境の変化による買い替えの必要もありません。一方で、自分の所有物ではないことや、他の人も運転する車であるというデメリットもあります。
また、カーシェアリングという手段もあります。拠点が近くにあれば、レンタカーよりリーズナブルに利用できるかもしれません。
人それぞれのライフスタイルや住んでいる地域などで、車はどうしても必要という場合もあります。車もハイブリッドやEV、これからは燃料電池車も普及していき、燃費コストも改善することが見込まれます。前述の計算例はあくまで参考として考えてください。
一方で、車のように生涯付き合うもの(保険や家などもそうですね)は、少し目先を変えるだけで、小さい金額のようでトータルでは、かなり大きな金額の違いがでてきます。
我が家の価値観を大切にしつつ、ライフプランとにらめっこしながら考えていきましょう!